こんにちは。
今回は、「こごもり遊園」という、かつて広島県府中町に存在した娯楽施設について調査します。

この度、「こごもり遊園」のパンフレットを入手したため、これをもとに調査していきます。
概要
「こごもり遊園」は、広島県府中町鹿籠(現在の広島県安芸郡府中町鹿籠)に存在した娯楽施設です。
鹿籠と書いて(こごもり)と読みます。
広島駅から車で5分の場所にあり、入浴施設、釣り堀、宴会場、貸会議室などを備えた複合娯楽施設でした。
パンフレットには、「こごもり遊園では、団体、個人を問わず 会議、商談、宿泊宴会 休憩とお食事(朝食、昼食、夕食)ご入浴 レクリエーションなどすべてお引受けいたします」とあります。
団体・個人を問わず、様々な利用用途に対応した施設だったようです。
当時の航空写真
1960年代に撮影された航空写真です。赤い線で囲っている部分が「こごもり遊園」です。

出典:国土地理院
アクセス
パンフレットから引用すると「こごもり遊園は、山陽本線と1級国道2号線沿い 東洋工業前の丘にあり、広島駅からタクシーで5分、大型バス10台まで駐車が可能です」とあります。
1級国道2号線は現在、県道164号広島海田線となっています。東洋工業は現在のマツダ株式会社の旧社名です。
設備
パンフレットに記載されていた設備がこちらです。
大岩風呂
薬効ゆたかな大岩風呂
チケット食堂
うどん、そば、お寿司、その他和洋食を提供
売店
おみやげ、たばこ、飲物などを販売
ビアガーデン
釣り堀
四季折々の自然を鑑賞しながら魚釣り
庭園
自然の大岩と木立ちに囲まれた閑静な庭園
一般大広畳
100畳大広間/1間(舞台付)
特別貸室
60畳大広間/2間(舞台付)
小部屋
4畳半/6間
6畳/3間
10畳/2間
12間/2間
(各室冷暖房完備)
無料駐車場
大型バス10台の玄関横付け可
料金
パンフレットに記載されていた料金がこちらです。
入園料 大人/150円 子供/70円(入浴 休憩料を含む)
宿泊は素泊まり1人500円、2食付きで1000円以上
営業日
パンフレットによると、営業日は年中無休とあります。
魅力
パンフレットには、「こごもり遊園」の案内として4枚の写真が掲載されています。
大岩風呂
1番大きく掲載されているのは大岩風呂の写真です。
写真をみると、積み重なる大きな岩の間から、温泉が滝になって流れています。
パンフレットの説明によると、薬効ゆたかな大岩風呂は湯治気分を体験することができ、鉄砲節や虎造節を聞きながら入浴できたようです。
大広間
写真をみると、大広間の舞台では浴衣のような着物をきた複数の人が踊りを披露し、それを床に座った大勢の人々が楽しんでいます。
パンフレットの説明によると、大広間は自由席で隣の人とすぐに仲良くなり、歌と踊りと笑いを楽しむことができたようです。
庭園
写真を見ると、中央に小さな橋が架けられた池があり、周りは大岩や木々に囲まれ、遠くにはビルや煙突のようなものが見えます。
パンフレットの説明によると、自然の大岩と木立ちに囲まれた閑静な庭園だったようです。
夜景
写真を見ると、手前に川が流れており、川の向こうは写真が白飛びするほど明るい広島市街の夜景が見えます。
パンフレットの説明によると、「こごもり遊園」からは、明かりが花のように咲き乱れる広島の夜景が一望に見渡せたようです。
開園年と閉園年
正確な開園年、閉園年は不明です。
「こごもり遊園」があった場所を国土地理院の航空写真で確認します。
1945年~1950年では建物も道路もないですが、切り開かれて平地ができています。
1961年~1969年、1974年~1978年では住宅街の中に広い敷地と建物が確認できます。
1979年~1983年では、広い敷地が分割されて道路が敷かれ、住宅が建っていることが確認できます。
そのため、おそらく1950年頃以降の開園、1980年頃以前の閉園と推測されます。
跡地
現在、「こごもり遊園」の跡地は住宅地と鹿籠児童遊園という公園になっています。
鹿籠児童遊園には「鹿籠遊園」と刻まれた石碑があり、こごもり遊園が存在していたことを示す唯一の跡となっています。
まとめ
以上が、パンフレットを基に判明した「こごもり遊園」の内容です。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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